2013年12月9日月曜日

堕ちるために

みなさん

こんばんは!

本日、三度目の更新です。

落ち葉を考えながら野良仕事をしていると

宮沢賢治の『堅い瓔珞・・・』で始まる詩が頭から離れなくなりました。

そこで、ここに書き写します。
 


堅い瓔珞はまっすぐに垂れます
実にきらめきかがやいてその生物は堕ちてきます

まことにこれらの天人たちの
水素よりもっと透明な
悲しみの叫びをいつかどこかで
あなたは聞きはしませんでしたか
まっすぐに天を刺す氷の槍の
その叫びをあなたはきっと聞いたでせう

けれども堕ちるひとのことや
又溺れながらその苦い鹹水を
一心に吞みほそうとするひとたちの
はなしを聞いても今のあなたには
ただある愚かな人たちのあはれなはなし
或いは少しめづらしいことだけ聞くでせう

けれどもたださう考へたのと
ほんとうにその水を噛むときは
まるっきりまるっきりちがひます
それは全く熱いくらゐまで苦く
青黒さがすきとほるまでかなしいのです

そこに堕ちた人たちはみな叫びます
わたしがこの湖に堕ちたのだらうか
堕ちたといふことがあるのかと
 
全くさうです 誰がはじめから信じませう
それでもたうたう信ずるのです
そして一そうかなしくなるのです
こんなことを今あなたに云ったのは
あなたが堕ちないためにでなく
堕ちるために又泳ぎきるためにです
誰でもみんな見るのですし また
いちばん強い人たちは願ひによって堕ち
次いで人々と一緒に飛騰しますから



白隠さんなら
南無地獄大菩薩



田舎者なら
酔いつぶれ 始末書かいて また飲んで


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