2017年3月21日火曜日

今我国には小人多し。

 出家人はもとより身に財宝なければ、智慧功徳を以てたからとす。他の無道心なるひがごとなんどを、直に面てに表して非におとすべからず、方便を以てかれの腹立つまじきやうに云ふべきなり。暴悪なるはその法久しからずと云ふ。たとひ法を以て呵嘖するとも、あらき言葉なるは法も久しからざるなり。小人下器はいささかも人のあらき言葉に必ずすなわち腹立ち、恥辱を思ふなり。大人上器には似るべからず。大人はしかあらず。たとひ打たるれども報を思はず。今我国には小人多し。慎まずんばあるべからざるなり。
                                              『正法眼蔵随聞記4-16』


 出家した人はその身に財をもたず、智慧と功徳をもって宝とする。よって、他者の仏道への帰依の心がないことからくる間違いなどを、すぐに顔色に出して非難すべきではない。うまく言葉を使ってその人が腹を立てないよう話すべきである。激しい言葉で説いては仏の教えも長続きしないと言われる。たとえ、仏の教えにしがって叱責しても、荒い言葉では仏の教えも長続きしないのである。つまらない人はちょっとした人の荒い言葉でも必ずすぐに腹を立て、恥をかかされたと思う。度量の大きな人はそれに似ることなんてない。立派な人は、たとえ殴られても、仕返しなんてしようとは思わない。今我が国には、つまらない人が多い。だから、(荒い言葉は使わず)控えめにしておかなければならない。

                                              『現代語訳』

みなさま

おはようございます。


ここに写させていただいたのは道元禅師の夜話を弟子の懐奘が書き留めた、

『正法眼蔵隋聞記』の一話の抜粋です。


何度となく読み返しているのですが、ただ読んでいるだけなので内容はさっぱり頭の中へと

入ってきません。ただし数週間前から『今我国には小人多し』という言葉に引っかかってしまい

改めてこの4-16を探し求め読み返してみたのです。せっかくの機会なので現代語訳を見つけて

読み返してみると、今の日本国というか我々にあてはまる言葉でもあることに驚き、また

自分自身への課題を見つけた事になったのです。


みなさま、どのように感じ取られますか。



時超えて 今に生きたる 佛さま

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