2011年3月27日日曜日

みんなに 上野千里

みんなに

かなしみの尽きぬところにこそ
かすかなよろこびの芽ばえの声がある
あつい涙のその玉にこそ
あの虹の七色は映え宿る

人の世の苦しみに泣いたおかげで
人の世の楽しみも心から笑へる
打たれ踏まれて唇を噛んだおかげで
生まれてきたことの尊さがしみじみ分かる

醜い世の中に思わず立ちあぐんでも
見てごらん ほら あんなに青い空を
みんなが何も持っていないと人が嘲っても
みんな知っている もっと美しい本当に尊いものを

愛とまことと太陽に時々雨さえあれば
あとはそんなにほしくない
丈夫なからだとほんのすこしのパンがあれば
上機嫌でニコニコ歩きたい

それから力いっぱい働こう
そうして決して不平は云わずに
何時も相手の身になって物事を考えよう
いくらつらくても決してひるまずに

どこかに不幸な人がいたら
どんなことでも力になってあげよう
もしすっかり自分を忘れてしてあげられたら
もうそれできっと嬉しくてたまらないだろう

うつむいていればいつまでたっても暗い空
上をむいて思いきって笑ってごらん
さびしくてどうしても自分がみじめにみえたら
さあもっと不幸な無数の人人のことを考へてごらん

道はどんなに遠くても
おたがいいたわりあい
みんな手をとり合って歩いてゆこおう

悲しいときはともに泣き
楽しいときはともに笑い
かたを組み合って神のみさかえをたたえよう

朝 お日様が昇るときは
あいさつに今日もやりますと叫びたい
夕べ お日様が沈むときは
夕焼け空をじっと見つめて坐っていたい

心にはいつもささやかな夢をいだいて
小鳥のようにそっと眠り
ひまがあったら古い詩集をひもといて
ひとり静かに思いにふけけりたい

幸せは自分の力で見出そうよ
真珠のような涙と太陽のような笑いの中に
今日もあしたも進んでいこうよ
きっといつの日か振りかえって静か微笑めるように

偽って生きるより偽られて死に
偽って得るより偽り得ずに失えと
天国からじっと見守っているお父さんに
手をふってみんな答えておくれ

なんどころんでもまた起きあがればいい
なんだこれしきのことと笑いながら
さあみんな ほがらかに元気一ぱい
さわやかな空気を胸に大きくすいながら



田舎者 泣くも笑うも 一日よ

2 件のコメント:

できの悪い後輩 さんのコメント...

なんかあったんすか!?

田舎者 さんのコメント...

地震!